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まじしんブログ「人間ドック」

  • 2025年11月9日
  • 読了時間: 5分

秋の健康診断シーズンを迎え当院でも世田谷区国民健康保険や後期高齢者連合の特定健診受診者が増えました。企業に勤務されている社会保険加入者の方々も各々の健保組合から健康診断や人間ドックの受診勧奨がなされていることと思います。一般的に健康診断と呼ばれるものには労働安全衛生法に基づいて行われる企業主体のもの(深夜業務、危険物取り扱い、海外赴任者など特殊なものも含まれます)、40歳以上で行われる健保組合主体の特定健診(いわゆるメタボ健診)、および居住自治体に実施義務のあるがん検診に大別されます。これらを受診することで主たる生活習慣病や罹患者数トップ5のがん(肺、大腸、胃、子宮、乳房)をカバーすることができます。さらに各企業や自治体の判断でオプション検査が追加されていることも少なくありません。


さて、これら通常の定期検診では内容が不足、指定医療機関が遠く時間が取れない、家系的に罹患者が多く詳しく見ておきたい臓器や病気がある、何年間も受診できなかったので一気にまとめて検査したいなどの理由で「どこかお薦めの人間ドックはないか?」と聞かれることがあります。もちろん私自身が受診者として、あるいは診療する側として複数のドックを見聞きしてはいますが、場所や受診時間帯、可能な検査内容やオプションを含む検査料金、アフターフォローとして保険診療体制があるかなど細かいことまでは把握しきれませんので、受診者の皆さん自身でお探しいただくようにしています(大抵の場合とても綺麗なホームページがありウェブ予約なども可能です)。あくまでも自由診療ですので、端的に言えばより高額な料金を負担するほどに検査内容は充実し、少数の受診者で待ち時間も少なくゆったりと検査を受け、男女別の専用フロアや時間帯が設けられるなど付加価値が増えていきます。終了後に提携レストランでの食事が用意されていたり、1泊ドックでは帰宅せず近隣ホテルの宿泊が負担される場合もあります。また観光地や温泉地の民間病院では観光や温泉宿宿泊とセットで受診できるメディカルツーリズムを売りにしている例もあるようです。従って一般的なレストランやホテルの予約と何ら変わりはないのですが、セット検査コースやオプション検査の内容が本当に必要なもの妥当なものなのか、一般の方にとってわかりにくいのが悩ましいところです。


「ずっと胃の調子が悪いので内視鏡検査を受けたが何ともないと言われた」「頭痛やめまいが度々起きるので脳MRIを撮影したが何ともないと言われた」日常の診療ではよくある話です。一方このような有症状時の検査ではなく、人間ドックを受ける目的は無症状のうちに早期発見することですので、健康体のはずだったのが「要経過観察・再検・精検・治療」という結果が戻ってきただけで病的な気分になってしまった経験のある方は少なくないでしょう。検査には多くの限界があることや基準値の意味などをある程度理解されておいた方が過度に期待や安心したり、結果票を見て落ち込んだりせずに済みます。とは言え、数字が上下限値をはみ出ていたり、画像検査結果で聞いたこともない医学用語が記載されていると驚いてしまいますね。で、ネットで調べてみたら「がんになる可能性や疑いがある」などと記載されていようものなら・・・不安払拭のためにどうぞ当院をご利用ください(笑)。なお蛇足ながら当院にも上部内視鏡と超音波検査器がありますので、あとは呼吸機能検査機器があればシンプルな人間ドックの内容は網羅できるのですが、健診やがん検診とは名乗れても人間ドックと称することはできません。なぜなら厚労省の定めた基準の一つに「通常診療を受ける患者さんとは待合室および診察室を分けること」とされているからです。


何らかの費用補助がある方でも決して安くはない人間ドック。最後にいくつかのアドバイスを挙げますので参考にしてください。ただし私個人の見解ですので、ドック健診関連の学会の指針や受診者個人の自由意志を妨げるものではありません。

1)無駄な検査の代表格

腫瘍マーカー(CEA、AFP、CA19-9、CA125、シフラ、など)

がんの早期診断にはなりません。唯一男性のPSA検査は前立腺がんの早期発見の手がかりとなりえます。その他は画像検査を優先するべきです。基準値からちょっと外れているだけで、夜も眠れなくなってしまう受診者の何と多いことか。最近はアミノインデックスや遺伝子検査など病気のリスクの高低を調べるものも増えていますが、これらも考えものです。

2)毎年行う必要のない検査

ヘリコバクターピロリ菌、肝炎ウイルス(HBs抗原、HCV抗体)、血液型、大腸内視鏡

3)一定の割合で健康者が異常と判定されてしまう検査

リウマトイド因子、抗核抗体、ASO

4)基準値とは

かつては正常値と表記していましたが、外れた場合の全てが異常だと誤解されぬような表現に変わりました。一般的に96%程度の病的な異常のない方がこの値に当てはまるとされています。過去の記録と見比べてみると、いつも基準値の上限あるいは下限前後で横ばいに推移していれば、それが受診者にとっての標準値であると分かりますし、明らかに年々悪化しているようなら判定に従ってください。



 
 

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